数が多ければいいというものではない
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現代語訳
軍隊は人数が多ければいいというものではない。猛進せずに、戦力を集中して敵情をよく観察しそれにあわせて行動すれば、勝てる。
配慮もなくいたずらに敵を侮る者は、必ず捕虜にされてしまうだろう。
兵士たちがまだ司令官に懐いていないのに懲罰を行えば、兵士たちは心を閉ざしてしまう。
心を閉ざしてしまうと兵士たちを十分に働かせることはできなくなる。
逆に兵士たちがもう司令官に懐いているのに懲罰を行わないと、規律が乱れ、これも十分に働かせることができなくなる。
アメとムチの使い分けが大事である。これができてこそ、必勝の軍になるのだ。
司令官自身が普段から法令をきっちり守っていれば、いざという時兵士たちに命令しても服従してくれる。だが普段法令をないがしろにしているなら、いざという時命令しても兵士たちは従わない。
法令が普段からちゃんと行われていれば、戦時になっても法令は民の心にかない、民は法令を守るものだ。
原文
兵非益多也、惟無武進、足以併力料敵、取人而已、夫惟無慮而易敵者、必擒於人、卒未親附而罰之、則不服、不服則難用也、卒已親附而罰不行、則不可用也、故令之以文、齊之以武、是謂必取、令素行以教其民、則民服、令不素行以教其民、則民不服、令素行者、與衆相得也、
書き下し
兵は多きを益ありとするに非ざるなり。
惟だ武進すること無く、力を併わせて敵を料らば、以て人を取るに足らんのみ。
夫れ惟だ慮り無くして敵を易る者は、必ず人に擒にせらる。
卒未だ親附せざるに而もこれを罰すれば、則ち服せず、服せざれば則ち用い難きなり。
卒已に親附せるに而も罰行わざれば、則ち用うべからざるなり。
故にこれを令するに文を以てし、これを斉うるに武を以てする、是れを必取と謂う。
令 素より行われて、以て其の民を教うれば則ち民服す。
令 素より行われずして、以て其の民を教うれば則ち民服せず。
令素より行わるれば、衆と相い得るなり。