敵情や地形から勝敗を予測するのが司令官の役目
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現代語訳
地形は戦争の補助的な要素である。敵情を分析して勝算を立て、土地が険しいか平坦か、遠いか近いかを考えるのが、司令官の役割である。
こういうことをわきまえた上で戦いをする者は必ず勝つし、わきまえない者は必ず負ける。
敵情や地形などの条件からいって勝算がある時は、たとえ君主が「戦うな」と命じても、戦うべきである。敵情や地形などの条件からいって勝算が無い時は、たとえ君主が「戦え」と命じても、戦うべきでない。
みずからの功名をかえりみず進むべき時は進み、罪に問われることも恐れないで退くべき時は退く。兵士達を無駄死させず、しかも君主の利益にも沿う。こういう司令官こそ国の宝である。
原文
夫地形者、兵之助也、料敵制勝、計險阨遠近、上將之道也、知此而用戰者必勝、不知此而用戰者必敗、故戰道必勝、主曰無戰、必戰可也、戰道不勝、主曰必戰、無戰可也、故進不求名、退不避罪、唯人是保、而利合於主、國之寳也、
書き下し
夫れ地形は兵の助けなり。敵を料って勝を制し、険夷・遠近を計るは、上将の道なり。
此れを知りて戦いを用なう者は必ず勝ち、此れを知らずして戦いを用なう者は必ず敗る。
故に戦道必ず勝たば、主は戦う無かれと曰うとも必ず戦いて可なり。
戦道勝たずんば、主は必ず戦えと曰うとも戦う無くして可なり。
故に進んで名を求めず、退いて罪を避けず、唯だ民を是れ保ちて而して利の主に合うは、国の宝なり。
現代語訳・朗読:左大臣光永