軍隊の形は水のようなもの

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現代語訳

軍隊の形は水のようなものである。水は高い所から低い所に流れていく。軍隊の形は敵の守りの固い「実」の部分を避けて守りの薄い「虚」の部分を攻撃する。

水は地形によって流れを決め、軍隊は敵の形によって勝利を制する。軍隊に決まった勢いというものは無く、決まった形も無い。

敵の出方次第で柔軟に対応し、勝利を得る。これこそ神妙というものだ。

木火土金水の五行のうち、これだけで勝てるというものはなく、春夏秋冬の四季は絶えず移り変わり、日の長さだって長短があるし、月にも満ち欠けがある。

軍隊の勢いと形も、それと同じである。

原文

夫兵形象水、水之形、避高而趨下、兵之形、避實而撃虚、水因地而制流、兵因敵而制勝、故兵無常勢、水無常形、能因敵變化而取勝者、謂之神、故五行無常勝、四時無常位、日有短長、月有死生、

書き下し

夫れ兵の形は水に象る。水の行は高きを避けて下きに趨く。

兵の形は実を避けて虚を撃つ。

水は地に因りて行を制し、兵は敵に因りて勝を制す。

故に兵に常勢なく、常形なし。能く敵に因りて変化して勝を取る者、これを神と謂う。

故に五行に常勝なく、四時に常位なく、日に長短あり、月に死生あり。

現代語訳・朗読:左大臣光永

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