兵は詭道なり

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現代語訳

軍事の基本は敵を欺くことだ。だから能力があっても無いふりをし、勇気があっても無いふりをし、近くても遠いように見せ、敵にとって利益があるように見せて誘いこむ。

敵が混乱しているならその地を奪い取り、敵の数が十分に多いなら守りに徹し、敵が強いなら戦闘を避け、敵が怒っているなら挑発してひっかきまわす。

謙虚なら奢りたかぶらせ、余裕があるようなら疲れさせ、連帯が厚いなら分断する。

敵の守りが薄い所を攻め、敵が予想だにしなかった所に突出する。

これが用兵家のいう勝利である。敵情によって作戦を変えるのだ。だから出陣前には伝えることができないものだ。

原文

兵者詭道也、故能而示之不能、用而示之不用、近而示之遠、遠而示之近、利而誘之、亂而取之、實而備之、強而避之、怒而撓之、卑而驕之、佚而勞之、親而離之、攻其無備、出其不意、此兵家之勝、不可先傳也、

書き下し

兵は詭道也、故に能にして之に不能を示し、用にして之に不用を示す、近きにして之に遠きを示し、遠きにして之に近きを示す、利にして之を誘ひ、乱にして之を取り、実にして之に備へ、強にして之を避く、怒りて之を撓し、卑しくして之を驕らせ、佚而勞之、親しくして而之を離す。其の無備を攻め、其の不意に出ず。此れ兵家の勝、先には伝ふべからざるなり。

現代語訳・朗読:左大臣光永

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