敵が守らない所を攻め、攻めない所を守る
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現代語訳
敵の行く所に必ず駆けつけ、敵の意図していなかった地点から攻撃をしかけ、千里の行軍をしても疲れないのは、敵の合間を縫って、敵のいない所を進むからである。
敵の拠点を攻撃し、必ずそれを落とすのは、そもそも敵が守らない所を攻めるからである。
防御して必ず堅固なのは、敵が攻めない所を守るからである。
だから攻撃の巧みな者に対しては、敵はどこを守っていいのかわからなくなる。防御の巧みな者に対しては、敵はどこを攻めていいかわからなくなる。
微妙の極みである。ついには形が無くなる。神がかりなことだ。ついには音が無くなる。こういうやり方なら、敵を生かすも殺すも自由自在だ。
原文
出其所不趨、趨其所不意、行千里而不勞者、行於無人之地也、攻而必取者、攻其所不守也、守而必固者、守其所不攻也、故善攻者、敵不知其所守、善守者、敵不知其所攻、微乎微乎、至於無形、神乎神乎、至於無聲、故能爲敵之司命、
書き下し
其の必ず趨くところに出て、其の意わざるところに趨き、千里を行きて労れざる者は、無人の地を行けばなり。
攻めて必ず取る者は、其の守らざる所を攻むればなり。
守りて必ず固き者は、其の攻めざる所を守ればなり。
故に善く攻むる者には、敵 其の守る所を知らず。
善く守る者には、敵 其の攻むる所を知らず。
微なるかな微なるかな、無形に至る。
神なるかな髪なるかな、無声に至る。
故に能く敵の司命を為す。
現代語訳・朗読:左大臣光永